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ガイド 更新: 2026-04-06 約12分で読める

経理のChatGPT活用法|業務別プロンプト7選と始め方を解説【2026年版】

経理担当者向けにChatGPTの具体的な使い方を解説。仕訳確認・月次決算・税制改正要約など7業務のプロンプトテンプレート付き。明日から始める導入3ステップも紹介。

「ChatGPTって、経理の仕事にどう使うの?」

上司から「AIで業務を効率化できないか」と聞かれた。同僚が「ChatGPTで資料作成が速くなった」と話していた。ニュースでは毎日のようにAI活用の事例が流れてくる。

「自分も使ったほうがいいのはわかる。でも、経理の仕事にどう使えばいいのか、具体的にイメージできない」——そう感じている経理担当者は少なくない。

厚生労働省の2026年2月調査によると、AI導入企業は全体の31%に到達し、そのうち91%が「作業負担の軽減や作業効率の改善」に効果を実感している。(出典: 厚生労働省 労働経済動向調査

一方で、日本の生成AI業務活用率はBCG調査対象国中で最も低い16%にとどまる。(出典: BCG「AI at Work」2025

つまり、今ChatGPTを業務に取り入れるだけで、84%の人より一歩先に進める

この記事では、経理業務で今日からそのまま使えるChatGPTプロンプトを7つ紹介する。「何を入力すればいいかわからない」を解消するための、業務別テンプレート集だ。


ChatGPTが経理業務で「できること」と「できないこと」

ChatGPTを経理に活用するうえで、まず押さえておきたいのが向き・不向きの境界線だ。

ChatGPTが得意なこと

業務カテゴリ具体例期待できる効果
知識の参照・整理勘定科目の判断基準、税制改正の要約調べものの時間を短縮
文章の下書き経営報告書、社内向けFAQ、メール文面執筆時間を半分以下に
チェックリスト作成月次決算手順、経費精算ルール抜け漏れ防止
Excel関数・マクロVLOOKUP、ピボット集計、VBAコード関数を調べる手間を削減
壁打ち・相談仕訳の妥当性確認、処理方針の検討一人で悩む時間を減らせる

ChatGPTに任せてはいけないこと

  • 最終的な仕訳判断: ChatGPTの回答はあくまで参考。税法上の判断は税理士や社内の上位者に確認が必要
  • 機密データの入力: 取引先名や金額など個人情報・機密情報をそのまま入力しない。社内ルールに従い、匿名化して使う
  • 税務申告書の作成: 申告書類は法的責任が伴うため、ChatGPTの出力をそのまま提出してはいけない
  • 最新の税率・制度の断言: ChatGPTの学習データには時間的な遅れがある。最新の税制改正は必ず国税庁や財務省の一次情報で確認する

ポイント: ChatGPTは「優秀なアシスタント」であって「責任を取れる専門家」ではない。下書き・整理・壁打ちに使い、最終判断は人間が行う——この原則を守れば、安全に業務効率化ができる。

経理業務のうち仕訳入力や請求書処理などの定型作業はAI自動化率が85〜90%とされるが、管理会計や経営判断支援など「人にしかできない経理」は残り続ける。(出典: freee, TOKIUM)ChatGPTの活用は、その「人にしかできない仕事」に集中するための時間を生み出す手段だ。

経理×AIの将来性についてより詳しく知りたい方は、「経理の仕事はAIでなくなる?2026年最新データで見る将来性と今からできること」も参考にしてほしい。


【本題】経理の業務別ChatGPTプロンプト7選

ここからが本記事の核心だ。7つのプロンプトはすべてそのままコピーして使える形式で紹介する。【 】の部分を自社の情報に置き換えるだけでいい。

プロンプト1: 仕訳の確認・相談

経理の日常で最も頻度が高い「この仕訳で合っているか?」の壁打ち相手として使える。

あなたは日本の企業会計に詳しい経理アドバイザーです。
以下の取引について、適切な仕訳を提案してください。

■ 取引内容: 【例: 社員の出張旅費35,000円を現金で精算した】
■ 当社の業種: 【例: 製造業】
■ 消費税の処理方式: 【税込経理 or 税抜経理】

以下の形式で回答してください:
1. 借方科目・金額
2. 貸方科目・金額
3. 消費税区分
4. この仕訳にした理由(根拠となる会計基準や実務慣行)
5. 別の処理方法がある場合はその内容と使い分け

使い方のコツ: 業種や消費税の処理方式を指定すると、回答の精度が上がる。ただし、ChatGPTの回答は「考え方の参考」として扱い、最終的な判断は自社の会計方針や顧問税理士に確認すること。


プロンプト2: 勘定科目の判断サポート

「この支出、何の科目にすればいい?」で迷ったとき。

以下の支出について、最も適切な勘定科目を判断してください。

■ 支出内容: 【例: 社内勉強会で使用するビジネス書10冊(合計15,000円)を購入】
■ 支出金額: 【15,000円】
■ 当社の業種: 【例: IT企業】

以下の形式で回答してください:
1. 推奨する勘定科目(第1候補)とその理由
2. 他に考えられる勘定科目(第2・第3候補)とそれぞれの理由
3. 科目選択で注意すべきポイント(税務上の扱いの違いなど)

活用例: 新しい種類の経費が発生したとき、過去の処理事例がない場合に特に役立つ。複数候補を出してもらうことで、社内で判断する際の検討材料になる。


プロンプト3: 月次決算チェックリストの作成

毎月の決算作業で「抜け漏れがないか不安」を解消する。

以下の条件で、月次決算の確認チェックリストを作成してください。

■ 業種: 【例: 中堅メーカー(従業員200名)】
■ 会計ソフト: 【例: freee / マネーフォワード / 弥生会計】
■ 特に注意したい項目: 【例: 減価償却の計上漏れ、売掛金の回収遅延】
■ 決算スケジュール: 【例: 翌月10日までに完了】

チェックリストは以下の構成で:
1. 日次で確認すべき項目
2. 月末に確認すべき項目
3. 翌月初に確認すべき項目
各項目に「確認のポイント」と「よくあるミス」を添えてください。

実務のヒント: 一度作成したチェックリストは、自社の業務フローに合わせてカスタマイズし、Excelやスプレッドシートに転記して毎月使い回すと効率的だ。

AI搭載クラウド会計ソフト「freee」や「マネーフォワード クラウド」を導入済みの場合、ソフトの自動仕訳機能とChatGPTのチェックリストを組み合わせることで、月次決算の工数をさらに圧縮できる。


プロンプト4: 経費精算ルールの社内FAQ作成

経理担当者の地味な負担——「この経費、申請していいですか?」の問い合わせ対応を減らす。

以下の経費精算ルールを、社員向けのFAQ形式でまとめてください。

■ 当社の経費精算ルール:
- 【例: 交通費は原則IC利用(タクシーは事前承認制)】
- 【例: 接待交際費は1人あたり5,000円以下が目安】
- 【例: 書籍購入は月5,000円まで事前承認不要】
- 【例: リモートワーク手当は月3,000円固定支給】

FAQ形式(Q&Aを15問)で作成してください。
以下を含めてください:
- よくある質問(申請方法、上限額、領収書の扱い)
- 判断に迷うケース(私用との区別、海外出張、慶弔費)
- 申請時のNG例と正しい例

効果: このFAQを社内ポータルに掲載すれば、問い合わせ件数を減らせる。経費精算の申請ミスによる差し戻しも減り、経理部門の確認工数が下がる。

AI経費精算サービス「TOKIUM」のような領収書自動読み取りツールと併用すれば、申請から承認までのフロー全体を効率化できる。


プロンプト5: 税制改正の要約・影響分析

税制改正のたびに「自社に影響があるのか、何を変えればいいのか」を素早く把握する。

以下の税制改正情報を、経理担当者向けにわかりやすく要約してください。

■ 改正内容:
【例: 2026年度税制改正で、交際費の損金算入特例が延長された。
資本金1億円以下の法人は年800万円まで全額損金算入可能。
適用期限は2028年3月31日まで。】

以下の構成で回答してください:
1. 改正のポイント(3行以内)
2. 対象となる企業の条件
3. 自社経理への具体的な影響(変更が必要な業務・処理)
4. 対応スケジュール案(いつまでに何をすべきか)
5. 参考にすべき一次情報源(国税庁URL等)

注意: ChatGPTの回答だけで税務判断を確定させないこと。改正内容の正確性は必ず国税庁財務省の公式サイトで裏取りする。ChatGPTは「何を確認すべきか」の見当をつける道具として使うのが安全だ。


プロンプト6: 経営報告書・月次レポートの下書き

数字を並べるだけでなく「経営層が知りたいこと」を盛り込んだ報告書を効率よく作る。

以下の月次データをもとに、経営会議向けの財務サマリーを作成してください。

■ 月次データ:
- 売上高: 【例: 1億2,000万円(前月比+5%、前年同月比+12%)】
- 営業利益: 【例: 1,800万円(前月比-3%)】
- 主な増減要因: 【例: 原材料費の高騰で売上原価が前月比+8%】

以下の構成で、A4一枚に収まる分量で:
1. エグゼクティブサマリー(3行)
2. 売上・利益のハイライト
3. 前月比・前年同月比の増減要因分析
4. リスクと注意点
5. 翌月の見通し

文体は簡潔なビジネス文書調で、箇条書きを活用してください。

活用のコツ: ChatGPTに出力させた下書きをたたき台にして、自分の分析や社内事情を加筆する。下書きがあるだけで、報告書作成にかかる時間を大幅に短縮できる。


プロンプト7: Excel関数・マクロの作成支援

経理業務のExcel作業で「この関数、どう書くんだっけ?」を即解決する。

経理業務で使うExcel関数を教えてください。

■ やりたいこと: 【例: 売掛金の入金消込。A列の請求番号とB列の入金データを突合し、未入金の請求を自動で抽出したい】
■ シートの構成: 【例: Sheet1に請求データ(A列: 請求番号、B列: 請求金額、C列: 請求日)、Sheet2に入金データ(A列: 入金番号、B列: 入金額、C列: 入金日)】

以下を含めて回答してください:
1. 使用する関数とその組み合わせ
2. 具体的な数式(セル参照付き)
3. 設定手順(ステップバイステップ)
4. うまくいかない場合のトラブルシューティング

発展: 定型作業を自動化したいなら「VBAマクロのコードを書いてください」と依頼することもできる。ChatGPTはVBAコードの生成が得意なので、毎月の集計作業やファイル統合などの自動化に活用できる。


明日から始める3ステップ

「7つもあると、どこから手をつけていいかわからない」と思うかもしれない。以下の順番で進めるのがおすすめだ。

ステップ1: まず1つ、仕訳相談から始める(今週中)

最初はプロンプト1の「仕訳の確認・相談」から試してほしい。理由は3つある。

  • 毎日発生する業務なので、試す機会がすぐにある
  • 正解を自分で判断できるので、ChatGPTの精度を検証しやすい
  • リスクが低い。相談して参考にするだけなので、ミスにつながりにくい

ChatGPTの無料版(GPT-3.5)でも試せるが、有料版(GPT-4以降)のほうが会計知識の精度は高い。まずは無料版で感覚をつかみ、業務に使えると判断したら有料版への移行を検討するとよい。

ステップ2: チェックリストとFAQで「型」を作る(2〜3週目)

仕訳相談に慣れたら、プロンプト3(月次決算チェックリスト)とプロンプト4(経費精算FAQ)に進む。これらは**一度作れば繰り返し使える「型」**になるため、投資対効果が高い。

作成したチェックリストやFAQは、ExcelやGoogleスプレッドシートに転記して社内で共有する。経理部門全体の業務品質が底上げされる。

ステップ3: AI会計ソフトとの組み合わせで本格活用へ(2ヶ月目以降)

ChatGPTに慣れたら、AI搭載の会計ソフトやツールとの併用を検討する。ChatGPTは「汎用的な相談相手」、会計ソフトは「実務の自動化エンジン」——この2つを組み合わせることで、経理業務の効率化は次の段階に進む。

PwCの2025年調査では、AIスキル保有者の賃金プレミアムは56%に達している。(出典: PwC 2025 Global AI Jobs Barometer)ChatGPTの活用経験は、経理担当者としての市場価値を高める第一歩にもなる。

AIスキルと年収の関係については「AIスキルで年収56%アップ?2026年データが示す格差」で詳しく解説している。


よくある不安と回答

「ChatGPTに会社のデータを入れて大丈夫?」

ChatGPTの入力データは、設定によってはAIの学習に利用される可能性がある。企業利用では以下の対策を取ること。

  • ChatGPT Team/Enterprise版を契約する(入力データが学習に使われない契約)
  • API経由で利用する(データが学習に使われない)
  • 無料版を使う場合は機密情報を匿名化してから入力する(取引先名を「A社」に変える等)
  • 社内のAI利用ガイドラインを確認し、それに従う

「ChatGPTの回答を信じていいの?」

ChatGPTはハルシネーション(事実と異なる情報をもっともらしく生成する現象)を起こすことがある。特に以下のケースは注意が必要だ。

  • 特定の税率や期限の数値 → 国税庁の一次情報で必ず確認
  • 「〜という判例があります」 → 実在しない判例を生成することがある
  • 最新の法改正情報 → 学習データの時点で知識が止まっている場合がある

対策は「ChatGPTの回答を下書き・たたき台として使い、最終確認は一次情報で行う」という運用ルールを決めること。この原則さえ守れば、安全に活用できる。


経理×AIの変化にどう向き合うか

経済産業省の2026年3月推計では、2040年に事務職は440万人の余剰が見込まれる一方、AI人材は340万人不足するとされている。(出典: 経産省 2040年就業構造推計

この数字は「経理がなくなる」ではなく「経理の仕事内容が変わる」ことを意味する。定型的な入力・集計作業はAIが担い、人間は管理会計・経営分析・AIツールの運用管理へとシフトしていく。

ChatGPTを使い始めることは、その変化に適応するための具体的な一歩だ。

AI時代の雇用変化についてさらに知りたい方は「AI時代のリストラ完全ガイド」、事務職全般のAI影響については「事務職×AI」も参考にしてほしい。


まとめ

経理業務でのChatGPT活用は、特別なスキルがなくても始められる。

  • 仕訳の相談勘定科目の判断月次決算のチェックリスト作成経費精算FAQ税制改正の要約報告書の下書きExcel関数の支援——7つの業務で、今日からプロンプトをコピーして試してみてほしい
  • 最初は仕訳相談から1つだけ。それだけで「AIを業務に使う」感覚がつかめる
  • ChatGPTは「下書きと整理の相棒」。最終判断は人間が行う原則を守れば、安全に効率化できる

日本の生成AI活用率は16%。ほとんどの人がまだ動いていない今だからこそ、今週ひとつプロンプトを試すことが、半年後の自分を変える。

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