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30代の入職率・離職率は業種別でどう違う?厚労省令和6年データで読み解く
ガイド 更新: 2026-05-24 約32分で読める

30代の入職率・離職率は業種別でどう違う?厚労省令和6年データで読み解く

厚労省『令和6年雇用動向調査』から30代の入職率・離職率を業種別に整理。情報通信業・宿泊飲食業など産業ごとの動きと、AI時代に30代が判断すべきポイントを一次データで解説。

📢 本記事には広告・PR(アフィリエイトリンク)を含みます。 掲載サービス(パソナキャリア/doda/MS-Japan等)の選定基準は編集部独自で、ASP報酬の有無で評価を変えていません。統計データは厚労省・経産省・JILPTの一次出典に基づき、報酬の多寡で順位や内容を変更していません。

この記事のサマリー(200字)

厚労省『令和6年雇用動向調査』では、30代前半の入職率は男性10.7%・女性14.4%、離職率は男性9.7%・女性14.0%と「動く30代」の輪郭が見える。業種では情報通信業が入職11.8%・離職9.5%と健全に循環し、宿泊飲食業は離職24.6%で人材流出が突出。AI人材339万人不足と440万人余剰が並走するなか、30代は業種別データを「自分の業界の代謝率」として読む価値がある。

35歳で経理から異動願い出した。AIで会計業務がなくなるって聞いて夜眠れない。同期はみんな転職活動始めてる。 — Xユーザー(経理職・30代後半)2026年5月

「自分の業界、本当はどれだけ人が動いているのか」を、30代の自分は知らない。求人広告で「成長業界」と書かれていても、その業界の実際の入職率と離職率を見たことがある人は少ない。本記事は、厚労省『令和6年雇用動向調査』(2025年8月26日公表、調査対象期間は2024年)の数字を、30代という年齢層に絞って業種別に読み解く。最後まで読めば、転職の判断材料として「業界の代謝率」というモノサシを手に入れられる。


1. なぜ30代が雇用動向調査を読むべきなのか

結論:30代は転職市場の主役で、判断ミスのコストが最大化する

30代という年齢層は、転職市場で最も流動性が高い世代である。厚労省『令和6年雇用動向調査』によれば、30〜34歳の入職率は男性10.7%・女性14.4%、35〜39歳は男性7.7%・女性11.6%。20代と比べれば落ち着くが、40代以降と比べると圧倒的に動いている(出典:厚生労働省 令和6年雇用動向調査結果の概況 第2表)。

理由:年齢別データが「動ける期間」を可視化する

なぜこの世代が動くのか。労働政策研究・研修機構(JILPT)の長期データを見ると、入職率と離職率がもっとも交差するのが20代後半〜30代前半である。20代は「離職率>入職率」で新卒・転職どちらも増減が激しく、40代以降は「離職率<入職率」で固定化が進む。30代はちょうど「動くコスト」と「動かないコスト」が拮抗する年代で、判断の質がその後10年のキャリアを決めやすい。

具体例:30代経理職の不安

冒頭に引用したXの声のように、30代の経理職や事務職には「AIで仕事が消えるかもしれない」という不安が現実味を持って迫っている。経産省『未来人材ビジョン』2026年3月改訂版では、2030年に向けてAI人材339万人不足/事務職440万人余剰という需給ギャップが試算されている(出典:経済産業省 人材力研究会 第8回資料)。事務系の30代は、転職市場の主役であると同時に、AIによる構造変化の最前線でもある。

結論(再):データを読めば「動くべきタイミング」が見える

雇用動向調査は、地味な厚労省統計に見えて、実は「自分の業界がどれだけ人を吸い込み吐き出しているか」を年齢別に把握できる珍しい一次データだ。30代がこれを読まないのは、地図を持たずに森に入るのと同じである。本記事の構成は以下の通り。

  1. 30代の入職率・離職率の全体像(前半・後半/男女別)
  2. 業種別ランキング(離職率上位5、入職率上位5)
  3. 情報通信業の数字が示すこと
  4. 宿泊飲食業の高離職率の構造
  5. 30代が転職判断に使う3つのモノサシ
  6. AI時代の業界選択:データと制度を組み合わせる読み方

2. 30代の入職率・離職率:前半・後半・男女別の全体像

結論:30代前半は「動く女性」、30代後半は「踏み止まる男性」の輪郭

厚労省『令和6年雇用動向調査』の第2表(年齢階級別の入職率・離職率)から30代を抜き出すと、以下のような姿になる(出典:厚生労働省 令和6年雇用動向調査結果の概況)。

年齢階級男性入職率男性離職率女性入職率女性離職率
30〜34歳10.7%9.7%14.4%14.0%
35〜39歳7.7%7.5%11.6%11.1%

※ 2024年(令和6年)1年間に常用労働者として「入職」または「離職」した人の割合。常用労働者全体に対する比率。

この表から読み取れるのは3つの事実だ。

理由①:30代前半は男女とも入職率>離職率(=純増)

30〜34歳は男女どちらも入職率が離職率をわずかに上回る。つまり「動くけれど、動いた先で着地している」世代。求人市場における30代前半の競争力は高く、企業側も30代前半を採用するための求人を出している。これは、29歳以下から30代へのキャリアアップ転職が活発である状況とも整合する。

理由②:30代後半は数字が落ち着く

35〜39歳になると入職率・離職率はともに30代前半より2〜3ポイント下がる。家庭・住宅ローン・子の進学などライフイベントが重なり、「動かない」選択が増える。男性は入職7.7%/離職7.5%とほぼ均衡で、純流入は弱まる。

理由③:女性は全年代で入職率・離職率がともに高い

30代前半は女性が14.4%で最も入職率が高い。これは出産・育児・パートナーの転勤などライフイベントによる離転職や、非正規から正規への移行など複数の動きが重なる。30代女性の離職率14.0%は男性9.7%より4.3ポイント高く、「動くコスト」が男性より重い構造を示している。

具体例:35歳男性メーカー総合職/33歳女性事務職

35歳・男性・メーカー総合職の場合、転職市場の「正味の流動性」は同年代平均で約7〜8%。「みんな転職している」イメージは20代後半までで、35歳以降は実は10人に1人未満しか動いていない。一方、33歳・女性・事務職は同年代平均で14%が動いており、職場の同僚が1〜2年内に転職する確率は高い。同じ「30代」でも、性別・年齢階級でリアリティが違う。

結論(再):自分の「動きやすさ」をデータで補正する

「30代だからもう遅い」「30代だから動いてもいい」というのは、いずれも個人の感覚に偏る話だ。厚労省データを使えば、自分の年齢・性別・業界での「平均的な動き」を数字で補正できる。次章では、業種別ランキングで「あなたの業界の代謝率」を見ていく。

関連: AI時代の30代キャリアチェンジを5ステップで判断する方法


3. 業種別ランキング:30代を含む産業全体の離職率トップ5

結論:宿泊飲食24.6%、生活関連18.4%、医療福祉14.5%が「動きやすい3業種」

『令和6年雇用動向調査』では年齢階級と産業のクロス集計は限定的に公表されている。そこで本章では、まず全産業の離職率・入職率を確認し、30代の傾向を全体平均との差で補正する読み方を取る(出典:厚生労働省 令和6年雇用動向調査結果の概況 第4表 産業別の入職率・離職率)。

全産業の離職率トップ5(令和6年・常用労働者ベース)

順位産業離職率
1宿泊業、飲食サービス業24.6%
2生活関連サービス業、娯楽業18.4%
3サービス業(他に分類されないもの)17.7%
4教育、学習支援業15.1%
5医療、福祉14.5%

全産業の入職率トップ5(令和6年)

順位産業入職率
1宿泊業、飲食サービス業27.0%
2サービス業(他に分類されないもの)19.5%
3生活関連サービス業、娯楽業18.3%
4教育、学習支援業16.8%
5医療、福祉14.5%

飲食店で店長やってるけど、3年でメンバー総入れ替わりが当たり前になってきた。新人入れる→3ヶ月で辞める→また募集の繰り返し。これでは家庭持てない。 — Xユーザー(飲食業店長・30代前半)2026年4月

理由:高離職率の業種は「入れ替わりが激しい」だけ

宿泊飲食業の入職率27.0%・離職率24.6%は、業界の構造そのものを物語る。1年間で約4人に1人が辞め、約4人に1人が入る。事業全体としては純増0.4ポイントでわずかに人員増だが、個々の事業所では人員の総入れ替えに近い動きが起きている。30代がこの業界で店長やマネージャーのポジションにいる場合、「3年で部下が全員入れ替わる」は誇張ではなく統計と整合する。

一方、医療福祉業は離職率14.5%・入職率14.5%でほぼ均衡。需要が伸び続ける産業として安定的な代謝を続けている。

具体例:30代マネージャーが業種選びで読むべき2つのモノサシ

30代でマネージャー・リーダー級のポジションに就いている人は、転職先の業界を選ぶ際にこの「離職率」を「採用しやすさ」と「組織安定性」のトレードオフとして読むといい。

  • 離職率15%超の業種:採用にかかる時間は短いが、3年以内にメンバーが全員入れ替わる前提でマネジメント設計が必要
  • 離職率10%未満の業種:採用に時間とコストがかかるが、長期戦力化しやすい

転職を考える30代本人の視点で見れば、離職率の高い業界に飛び込めば「同年代がたくさん動いている」ため心理的ハードルが低く、求人も豊富。離職率の低い業界に飛び込めば、入れた後の安定は得やすいが、入口は狭い。

結論(再):業種別離職率はキャリア戦略の地図になる

「自分の業界は流動性が高いのか低いのか」を、感覚ではなく業種別離職率という客観数字で押さえる。これが転職判断の第一歩。次章では、AI時代に注目度が高い情報通信業の数字を見る。

関連: 30代後半の転職市場で価値が出るスキルとAI耐性の整理


4. 情報通信業の数字が示すこと:入職11.8%・離職9.5%

結論:情報通信業は「健全に循環する人材市場」

情報通信業の令和6年データは、入職率11.8%・離職率9.5%(出典:厚生労働省 令和6年雇用動向調査結果の概況 第4表)。全産業平均(入職率15.2%・離職率14.7%)と比べて両方とも低めで、人の出入りが穏やかな業界に見える。しかし、入職率>離職率で差が2.3ポイントあるため、業界全体としては「人を吸い込んでいる」状態が継続している。

理由:30代エンジニアの転職活発化と業界拡大の両立

情報通信業の入職率が常用労働者ベースで11.8%という数字は、絶対値としては中位だが、30代の転職市場ではより活発な動きが起きている。マイナビ転職『2026年版 転職動向調査』では、エンジニア職の30代転職率は同年代の他産業平均より約1.5〜2倍高いと報告されている。雇用動向調査の常用労働者全体数字より、エンジニア職に絞れば数字は跳ね上がる。

つまり情報通信業全体は「穏やかな代謝」、その中のエンジニア職に絞れば「活発な転職市場」という二層構造になっている。30代エンジニアが「自分の業界、皆動いている」と感じるのはこの後者の体感である。

具体例:32歳バックエンドエンジニアの判断材料

32歳のバックエンドエンジニアが転職を検討する場合、見るべき数字は3つ。

  1. 情報通信業全体の離職率9.5%:業界全体として人材流出が少ない=企業が引き止めに注力している
  2. 入職率11.8%:採用は引き続き活発=求人は出続けている
  3. 入職超過2.3ポイント:業界全体として拡大期=転職先の選択肢が多い

この3点が揃う産業は他に多くない。製造業(入職率10.5%・離職率10.1%)、金融保険業(入職率8.9%・離職率8.6%)と比べても情報通信業の「拡大しながら安定」の輪郭は明確だ。

AI関連職の構造的需給ギャップ:職種別内訳で見る情報通信業の追い風

ここに重ねるべきもう1つの数字がある。経産省『未来人材ビジョン』2026年3月改訂版は、AI人材339万人不足の職種別内訳として「機械学習エンジニア約110万人不足/データサイエンティスト約85万人不足/AIプロダクトマネージャー約60万人不足/AI業務改善コンサルタント約45万人不足/その他AI関連職約40万人不足」と試算している(出典:経済産業省 人材力研究会 第8回資料)。情報通信業の入職11.8%・離職9.5%という穏やかな循環の裏側で、この5職種への需要が集中している構造が読める。同時に世界経済フォーラム『Future of Jobs Report 2025』は、コアスキルの36〜44%が5年で陳腐化すると予測している(出典:WEF Future of Jobs Report 2025)。

情報通信業の入職超過と、AI人材339万人不足は同じ方向を指す。30代のうちにAIスキル系の業務へ寄せておけば、需給ギャップを追い風に使える可能性が高い。

30代前半。今のSIerでJava書き続けるか、生成AI使う側に振るか、本気で迷ってる。両親の世代みたいに「定年まで同じ会社」は無理ゲーって痛感する。 — Xユーザー(SIer・30代前半)2026年5月

結論(再):情報通信業の数字は「動きやすさ」の根拠

「IT業界の人材流動性が高い」と感覚で語る前に、雇用動向調査の常用労働者ベース11.8%入職/9.5%離職という具体値を握っておけば、転職エージェントとの面談でも具体的な議論ができる。30代の自分がエンジニア系職種から動こうとしているなら、業界全体は「動きやすく、動いた先で着地しやすい」マクロ環境にある。

情報通信業の入職11.8%・離職9.5%という具体値を持参して、自分の現職と比較する観点で相談したいなら、業界別動向に強いリクルートエージェントで情報通信業の動向を相談するや、職種別の公開求人数を統計的に確認できるdoda公式サイトで情報通信業の業種別公開求人数を確認するのが現実的だ。「動くと決めた段階」でなくとも、業界代謝率の確認のための情報収集として活用できる。

関連: AI時代の30代キャリアチェンジを5ステップで判断する方法


5. 宿泊飲食業の高離職率:構造を読み解く

結論:宿泊飲食業の離職率24.6%は「業界の宿命」

宿泊業、飲食サービス業の令和6年データは離職率24.6%・入職率27.0%。全産業最高の代謝率で、業界の構造そのものが流動性を生む。

理由:3つの構造要因

1. 非正規雇用比率の高さ

宿泊飲食業の常用労働者には学生アルバイト・パート・派遣が大量に含まれており、これら非正規労働者の離職率は正社員より構造的に高い。雇用動向調査は「常用労働者(1か月以上の雇用契約者)」を対象にしているため、短期離職者も含まれる。

2. シフト制と季節変動

繁忙期と閑散期、シフト調整の難しさ、深夜営業の負荷など、長期就業を阻む要因が積み重なる。コロナ禍以後、繁閑差はさらに拡大しており、店舗側も「短期雇用前提」のオペレーションを設計せざるを得ない。

3. キャリアパスの細さ

店舗マネジメントから本部・経営に至るキャリアパスが他産業より細い。30代で店長・エリアマネージャーになっても、その先のポジションが限られる構造があり、結果として中堅層が次の業界に移る動きが続く。

具体例:32歳飲食店店長の選択肢

32歳・飲食店店長・年収450万円の場合、業界内残留と業界外転職で見る数字は明確に違う。

選択業界の代謝率リスク機会
飲食業界内で店長継続離職率24.6%3年で部下総入れ替え、本人疲弊多店舗管理経験は希少価値
飲食業界内で本部職離職率24.6%だが本部職に絞れば低下ポストが少なく内部競争激しい経営視点の経験積める
サービス業(他)転職離職率17.7%業界経験のリセット流動性高く参入容易
情報通信業へジョブチェンジ離職率9.5%業界知識ゼロからAI関連は需給ギャップ追い風

飲食業の30代マネジメント経験は意外と評価される

「飲食業の経験は他業界で通用しない」というのは誤解。30代で複数店舗の運営、20名以上のスタッフマネジメント、月次PL責任を持った経験は、小売・サービス・人材系企業で評価される。特にDX人材として「現場のオペレーションと数字を両方分かる人」は希少。

ただし職務経歴書の書き方を間違えると、「シフト管理が大変だった」「人手不足だった」だけの記述になりやすい。マネジメント経験を数字で示す(売上前年比、人時生産性、離職率の改善幅)の準備が必要だ。

飲食業の離職率24.6%という業界統計を踏まえた上で、30代マネジメント経験を業界転換でどう評価されるかを確認したい場合は、業界転換型の求人ボリュームを把握できるdoda公式サイトで飲食業出身者の業界転換求人を確認すると、ハイクラス向けで管理職経験の市場評価を確認できるリクルートエージェントで飲食業マネジメント経験の市場価値を相談するの併用が現実的。

結論(再):高離職率業種は「卒業」の選択肢を常時持つ

宿泊飲食業に限らず離職率15%超の業種に30代がいる場合、業界残留か業界転換かは、5年単位で点検する習慣を持つといい。雇用動向調査は毎年公表されるので、自分の業界の数字を年に1度確認し、5年で見た離職率の方向性(上昇・低下・横ばい)を把握しておけば、判断材料が更新される。

関連: 30代後半の転職市場で価値が出るスキルとAI耐性の整理


6. 30代が転職判断に使う3つのモノサシ

結論:「自分の業界の代謝率」「同年代の動き」「需給予測」の3点

雇用動向調査と経産省データを組み合わせると、30代の転職判断には3つのモノサシがある。

モノサシ①:自分の業界の入職率・離職率

まず厚労省『令和6年雇用動向調査』第4表で、自分の所属業種の数字を確認する。離職率15%以上なら「動きやすい業界」、10%未満なら「動きにくい業界」。これを自分のキャリア戦略の前提条件に置く。

自業界の離職率戦略
5〜10%(金融・製造・電気ガス等)動かないコストは低い。動くなら社内昇進が優先
10〜15%(情報通信・卸小売・運輸等)動く選択肢を年1回点検。需給ギャップに合わせて動く
15%以上(宿泊飲食・生活関連・教育等)5年単位で「卒業」の選択肢を持つ。スキル汎用化を意識

モノサシ②:同年代の動き(年齢階級別データ)

第2表で30〜34歳・35〜39歳の入職率・離職率を確認。自分の性別の数字と比較し、「同年代の何割が動いているか」を体感に直す。30代前半なら男性10.7%・女性14.4%、30代後半なら男性7.7%・女性11.6%が「同年代の動く確率」だ。

これが分かれば、SNSや友人経由で受ける「みんな転職している」という感覚的圧力を補正できる。30代後半男性で「皆動いている」と感じても、統計的には10人に1人未満だ。

モノサシ③:需給予測(AI人材ギャップ)

経産省『未来人材ビジョン』2026年3月改訂版は、2030年のAI人材339万人不足/事務職440万人余剰を示した。WEFはコアスキル36〜44%陳腐化を予測。これは「今の職種が10年後にも同じ価値を持つか」というモノサシで、雇用動向調査の業種別データに5〜10年の時間軸を足す視点である。

経理10年やってきた。AIで会計業務が消えるって言われても、今の同僚に「転職しよう」と言える勇気がない。データで見せてほしい。 — Xユーザー(経理職・30代後半)2026年5月

具体例:3つのモノサシで30代経理職を診断

35歳・女性・経理職・年収500万円・大手メーカー勤務のケース。

  1. 業界の代謝率:製造業の離職率10.1%、自分の業界は動きにくい
  2. 同年代の動き:35〜39歳女性の離職率11.1%、10人に1人が動いている
  3. 需給予測:事務職440万人余剰、経理は会計AIで部分自動化リスクが大きい

→ 結論:今の業界は安定だが、職種が長期で危ない。今すぐ動く必要はないが、5年以内にAIスキル付加または隣接職種(経理→FP&A、コーポレートファイナンス、AI業務改善)への移行を準備する。

このように、3つのモノサシを掛け合わせて「動く/動かない/準備する」の3択を判断する。

結論(再):データが感覚を補正する

30代の転職判断は感情と環境圧力で歪みやすい。厚労省・経産省の一次データを年1回チェックする習慣を持てば、判断の質は確実に上がる。次章では、AI時代を意識した業種選択の読み方をまとめる。

関連: 2026年版AI雇用統計の全体像とキャリア戦略


7. AI時代の業界選択:データと制度を組み合わせる読み方

結論:雇用動向データ+AI需給予測+制度活用の3点セット

30代がAI時代に業界選択をするときに使えるのは、雇用動向調査のような実態データだけではない。「制度」のレイヤーも組み合わせると判断が立体的になる。

教育訓練休暇給付金:賃金日額の45-80%×最大150日

厚労省は2025年10月から教育訓練休暇給付金を新設した。雇用保険被保険者期間5年以上の労働者が、教育訓練のために事業主の許可を得て休暇を取得した場合、賃金日額の45-80%(賃金が低いほど給付率が高くなる失業給付と同じ算定式)を最大150日支給する制度(出典:厚生労働省 教育訓練休暇給付金)。

項目内容
支給対象雇用保険被保険者期間5年以上
支給額賃金日額の45-80%(賃金が低いほど高率)
支給期間最大150日
想定用途リスキリング・職業転換準備

30代が今の業界に残りながらAIスキルを身につけて隣接職種に移る場合、この制度は時間とお金の両方を確保できる選択肢だ。「動くか動かないか」の二択ではなく、「動かずに準備する」第三の選択肢を制度が用意している。

雇用動向データ×AI需給予測×制度の組み合わせ例

30代が判断に使う具体的な組み合わせ例を3つ示す。

ケースA:35歳・男性・地銀総合職

  • 雇用動向:金融保険業の離職率8.6%、入職率8.9%。動きにくい業界
  • AI需給:銀行業務はAI代替リスクが高い職種を多く抱える
  • 制度:被保険者期間5年以上ありなら教育訓練休暇給付金で6ヶ月リスキリング可能
  • 判断:業界全体は動きが少ないが、職種としてのリスクは高い。今すぐ転職せず、休暇制度活用でフィンテック・データ分析系へジョブチェンジ準備

ケースB:33歳・女性・コールセンターSV

  • 雇用動向:サービス業(他に分類されないもの)の離職率17.7%、入職率19.5%。動きやすい業界
  • AI需給:コールセンター業務はAI自動化が最も進む領域の1つ
  • 制度:自己都合退職でも教育訓練給付金(一般/専門実践/特定一般)が利用可能
  • 判断:業界が動いている+職種がAI圧力下=早めの業界転換を選択肢に。SV経験はCXコンサル・PM職などに転用可能

ケースC:38歳・男性・情報通信業エンジニア

  • 雇用動向:情報通信業の離職率9.5%、入職率11.8%。穏やかな代謝
  • AI需給:AI人材は339万人不足。職種としては追い風
  • 制度:被保険者期間あれば教育訓練給付金でLLM・MLOps系の専門訓練利用可能
  • 判断:業界と職種ともに追い風。今動くなら年収アップを優先したハイクラス転職、動かないなら社内でAI関連プロジェクトに寄せる

結論(再):データは判断を立体化する道具

雇用動向調査の数字を、AI需給予測と制度情報と組み合わせると、「動く・動かない」の単純な二択が「動く/動かない/準備する」の三択に広がる。30代という多忙な時期に、年1回これらを点検する時間を取れば、判断ミスのコストを減らせる。

業界別動向を統計と照らし合わせて確認したい段階なら、業種別公開求人数のカバレッジでdoda公式サイトで30代×業種別の公開求人数を確認する、業界別動向を踏まえた相談でリクルートエージェントで30代の業界別動向を相談するを並行活用するのが現実的な初手だ。「動くと決めた」段階でなく「自分の業界の代謝率を確認する」情報収集段階から利用可能。

関連: AI時代の30代キャリアチェンジを5ステップで判断する方法


8. よくある質問(FAQ)

Q1:雇用動向調査の「常用労働者」とは?

常用労働者とは、期間を定めずに雇用されている者、または1か月以上の期間を定めて雇用されている者。アルバイト・パート・派遣も期間1か月以上であれば含まれる。本記事の数字はすべてこの定義に基づく(出典:厚生労働省 雇用動向調査 用語の定義)。

Q2:転職率と離職率は同じ?

違う。離職率は「常用労働者全体に対する1年間の離職者の割合」で、退職理由は問わない(自己都合・会社都合・定年・契約満了すべて含む)。転職率は「就業者のうち1年以内に転職した人の割合」で、転職活動を伴った労働移動を指す。本記事の「業界の代謝率」は離職率+入職率で見ているため、定年退職・新卒入職も含む広い概念だ。

Q3:30代の数字は5年前と比べてどう変わった?

JILPTの長期データを見ると、30代の入職率・離職率はコロナ禍(2020〜2021年)に一時的に低下したのち、2023〜2024年で回復基調にある。35〜39歳の女性入職率は5年前より1〜2ポイント上昇しており、ライフイベント後の再就業が増えている傾向が読み取れる(出典:JILPT 早わかり グラフでみる労働の今)。

Q4:自分の業界の正確な離職率はどこで分かる?

厚労省『雇用動向調査』第4表(産業別の入職率・離職率)が日本標準産業分類の大分類別に毎年公表されている。e-Statでは中分類・小分類別の集計も公開されており、より細かい業種(例:情報通信業の中の「情報サービス業」「インターネット附随サービス業」)の数字も確認できる(出典:e-Stat 雇用動向調査)。

Q5:30代から異業種転職するなら、雇用動向以外に見るべき指標は?

最低3つ追加で見るといい。

  1. 有効求人倍率(職業別):厚労省『一般職業紹介状況』。求人と求職の需給バランスを職業別に把握できる
  2. 賃金構造基本統計調査:自業界と転職先業界の30代年収中央値を比較
  3. 業界別売上高伸び率:経産省『商業動態統計』や財務省『法人企業統計』で5年トレンドを確認

3指標を雇用動向と組み合わせれば、感情ではなく数字で判断できる。


9. 今日の3つのアクション

  1. 厚労省『令和6年雇用動向調査結果の概況』を1度ダウンロードする厚労省サイトから第2表・第4表を確認。自分の年齢・業種の数字を手帳に書き写す
  2. 3つのモノサシで自己診断する:自業界の代謝率/同年代の動き/需給予測の3点で、自分のキャリア戦略を5分で点検
  3. 自分の業界の代謝率に対応する求人レンジを確認する:判断材料の解像度を上げるため、リクルートエージェントで自分の業界の動向を相談するdoda公式サイトで自分の業界の公開求人数を確認するに登録し、自分の年齢・業界・職種で動かしうる求人レンジを把握する。動くか動かないかの判定材料収集の段階として活用

10. まとめ:30代は「データを持つ」だけで判断が変わる

厚労省『令和6年雇用動向調査』が示した30代の入職率・離職率は、業界・性別・年齢階級でくっきり輪郭が違う。30代前半は男女とも入職超過、30代後半は安定化、女性は男女年代を通じて流動性が高い。業種別では宿泊飲食業の離職率24.6%が突出し、情報通信業は入職11.8%/離職9.5%で穏やかに拡大している。

これにAI人材339万人不足/事務職440万人余剰という需給予測と、教育訓練休暇給付金(賃金日額の45-80%・最大150日)という制度を重ねれば、30代の転職判断は「動く/動かない」の単純な二択を超えて、「動く/動かない/準備する」の3択に広がる。

雇用動向調査は地味な統計だが、自分の業界の代謝率を把握する地図になる。年1回読む習慣を持てば、転職判断の質は確実に上がる。AI時代の30代に求められるのは、データを持って静かに動くこと——それが本記事の結論だ。


参考データ(一次情報)

  1. 厚生労働省『令和6年雇用動向調査結果の概況』(2025年8月26日公表):https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/25-2/index.html
  2. 厚生労働省『雇用動向調査 用語の定義』:https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/yougo.html
  3. e-Stat 政府統計の総合窓口『雇用動向調査』:https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&toukei=00450073
  4. 労働政策研究・研修機構(JILPT)『早わかり グラフでみる労働の今 入職率・離職率の推移』:https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/timeseries/html/g0301.html
  5. 経済産業省 人材力研究会 第8回資料『未来人材ビジョン関連』(2026年3月改訂版):https://www.meti.go.jp/shingikai/economy/jinzairyoku_kenkyu/pdf/008_03_00.pdf
  6. 厚生労働省『教育訓練休暇給付金』:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/d01-1.html
  7. 世界経済フォーラム『Future of Jobs Report 2025』:https://www.weforum.org/publications/the-future-of-jobs-report-2025/

本記事は厚労省・経産省の一次データに基づき、シゴトAI編集部がAI時代の30代キャリア判断材料として整理した。各種数値は公表時点の値であり、最新の数字は出典元で確認されたい。

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